ゾーンダイエットとは
栄養素を適切な割合で取ることで、ホルモンのバランスを整え、体脂肪が燃えやすい体を作ろうという「ゾーンダイエット」が大注目されています。
単に特定の食品を食べ続けたり、カロリー摂取量を減らしたりする従来の方法とは趣を変えた、体に優しいこのダイエット法を、外食チェーンや医療機関でも取り入れる動きが出てきているようです。商売には目ざといですねぇ。
ゾーンダイエットは、アメリカの生化学者であるバリー・シアーズ博士が考案したダイエット法です。日本でも『食事革命4・3・3ダイエット』と言う名前で訳本が出版されています。
ゾーンダイエットは、肥満の原因は糖質(炭水化物)のとりすぎが原因であると言う根拠で考案されたダイエット法です。ただ、糖質自体を悪者に仕立てるのではなく、食事のバランスを変えなさい、整えなさいと言う指導を行っているところは、従来の低インシュリンダイエットと一線を画す部分ですね。
ゾーンダイエットの方法
ゾーンダイエットの方法は、炭水化物、たんぱく質、脂肪の摂取バランスを整えるという方法で行います。
除脂肪体重から特別な方法で算出した、たんぱく質の摂取量の割合(カロリーベース)を元に、炭水化物を4、たんぱく質を3、脂質を3の4:3:3の割合で摂取すれば肥満を解消し、健康的に痩せられるようになっています。それだけでなく、病気に強い体を作ることができるとされています。
シアーズ博士の実験によると、この4:3:3のバランスでの食事はエイコサノイドと言う局所ホルモンのバランスを整える効果があるとしています。エイコサノイドには悪玉と善玉が存在し、このバランスが崩れるとあらゆる病気の原因となると言われています。
ゾーンダイエットと他の低インシュリンダイエットや炭水化物抜きダイエットとの相違点は、糖質のカットの方法にあります。
糖質のとりすぎが原因でインスリンの急上昇と急降下を招き、肥満の原因となると言う主張は他の低インシュリンダイエットと同様ですが、ゾーンダイエットでは、糖質不足はグルカゴンの分泌量が増大するため、ケトーシスの様な異常代謝を招くと危険視しています。
低インシュリンダイエット提唱者が口を揃えて主張する効果のポイントである、ケトーシスは良くないと主張されているのが最大の相違点になります。
ケトーシス
ケトーシス(英:ketosis)とは糖質および脂質の代謝障害により、体内のケトン体が異常に増量し、臨床症状を示す状態。ケトン症とも呼ばれる。血中のケトン体が増量した状態をケトン血症、尿中のケトン体が増量した状態をケトン尿症、乳中のケトン体が増量した状態をケトン乳症と呼び区別する。臨床症状を伴わないケトン体の増量はケトーシスとはみなされない。
ケトーシスは単一の原因による発生は少なく、その原因は種々存在する。単胃動物ではケトン体は肝臓でのみ合成される。肝臓でのケトン体の合成亢進は下記の場合で発生する。
- 大量の脂肪酸が肝臓に流入すると、脂肪酸のβ-酸化による過剰なアセチルCoAからケトン体が合成される。
- オキサロ酢酸の不足などによりTCA回路でのアセチルCoAの処理能が低下するとアセチルCoAはケトン体として蓄積される。
- NADPHの低下などによりアセチルCoAからの脂肪酸合成が傷害されるとアセチルCoAはケトン体として蓄積される。
ケトーシスは分娩前後の乳牛に発生が多く、その主な原因として、エネルギー要求量の増加による低血糖が考えられる。 症状としては元気消失、乳量の減少などがみられ、ときに神経症状を示す。症状により消化器型ケトーシス、神経型ケトーシス、乳熱型ケトーシスに分類される。血中のケトン体、遊離脂肪酸の上昇、グルコース、トリグリセリド、総コレステロール、リン脂質、インスリンの低下が認められる。治療にはビタミンB群、インスリン、キシリトールなどを添加したグルコース液の輸液が行われる。(出典:Wikipedia)
ゾーンダイエット成功のための5つのポイント
ゾーンダイエットでは、食事の内容を炭水化物4、タンパク質3、脂質3の4・3・3の割合で摂取するところがポイントなのですが、これを実践するためには次の5つのポイントを守るようにします。
- 炭水化物、タンパク質、脂質を、4:3:3の割合で摂取すること
- 食事はこまめに1日5回とること
- 食事と食事の間を5時間以上あけないこと
- 朝食は起床後1時間以内にとること
- 炭水化物は野菜(イモ類以外)や果物から摂る
ゾーンダイエットの食材の選び方
ゾーンダイエットを実践する上で大事なことは適した食材選びです。それぞれの摂取カロリーを守れば何でもいいというわけではありません。食材を選ぶ時のルールがあります。
炭水化物
炭水化物は御難やパンに含まれる栄養素です。糖質と食物繊維からできているもので純粋な糖質ではありません。
さて、炭水化物を摂るべき食物を選ぶ場合は、なるべく未精製のものを選ぶようにします。
未精製といってもピンと来ないかもしれませんが、例をあげれば
- 白米よりも玄米
- 食パンよりも全粒粉を使用した食パン
といったように、精製した白い食べ物を避けるのがポイントです。
野菜についてもお芋やカボチャなどですと炭水化物がたくさん含まれていますので注意が必要です。ゾーンダイエットでは血糖値の上昇を抑える必要がありますので、基本的にGI値の低い食品を選ぶようにします。
GI値とは「グリセミック・インデックス」のことで、食後の血糖値の上昇速度を表す数値です。食品はカロリーだけでなくGI値も考慮することでより良い食材選びができるようになります。
タンパク質
基本的に高タンパク・低脂肪の食材を選ぶようにします。
動物性タンパクでしたら
- 卵白
- 皮を除いた鶏ムネ肉
- 鶏のササミ
- 魚肉
- 海老
- 貝
- ツナ缶
等々
植物性タンパクでしたら
- 大豆
- 納豆
- 豆腐
- カッテージチーズ
等々、畑の肉ですね。
豚肉や牛肉も脂身を除いて食べる分には差し支えありません。
脂質
脂質は一価脂肪酸を含む食材や油から摂るようにします。
具体的には、
- ピナッツなどのナッツ類
- オリーブ油
などです。
ゾーンダイエットの効果
ゾーンダイエットの効果を列挙すると、
リバウンドしにくい
太りやすい体質から、エネルギーを燃焼しやすい体質に変わるため、ダイエット終了後も大幅なリバウンドはしにくいでしょう。
過食を防げる
血糖値の大幅なアップダウンを抑制するので、空腹感を感じにくくなります。そのために「もっと食べたい!」という欲求を抑えやすいでしょう。
甘いものが欲しくなくなる
過食しにくくなると通じますが、糖分の高い食べ物は、血糖値をガーンと上げてしまいます。血糖値の上下が少ないと体が甘いものをあまり欲しがらなくなり、嗜好そのものも変化していきます。
体の代謝がよくなる
4,3,3バランスで食事を摂ることから、体内のホルモンバランスが整い、余計な脂肪が燃焼しやすくなって代謝の良い体に変わっていきます。
アンチエイジング効果が期待できる
細胞が障害を受けることによって老化が進行します、ホルモンバランスを整えることで細胞そのものが強くなり、老化のメカニズムを遅らせることが期待できます。
ゾーンダイエットを続けていく時の注意点
空腹感を感じることもある
空腹を感じにくいといわれるゾーンダイエットですが、それでも初めのうちは強い空腹感を感じることがあります。しかしこの空腹感は一時的なものですので、しばらくの間(2〜3週間くらい)つづけて様子をみましょう。
あまりに厳密に考えると挫折するかも
1日あたりのカロリーが多少オーバーしても気にしない気にしない。多少のオーバーよりも気長に続けていく方が大切です。良い意味で「ズボラ」になることも必要です。気に病みすぎるとダイエットの大敵「ストレス」になってしまいます。
楽しくダイエットが原則ですので、あまりむずかしく考えずに気楽に実践しましょう。
カロリー計算や食材選びが必要でなじみにくそうなゾーンダイエットですが、うまく実践できれば大きな成果を得られるでしょう。